PDF版はこちらから
ダイジェスト版動画
ご挨拶
日頃より、株式会社 KA 教育の教育活動にご協力を頂き誠にありがとうございます。 この度『第 28 回 3D 教育研究会』を開催することが出来ました。 『現代社会で求められる人材、資質・能力の育成〜高等学校の「探究」と高大接続の可 能性〜』と題し、情報経営イノベーション専門職大学 イノベーションマネジメント局 局長 の宮島徹雄先生による講演が行われました。開催時のレポートを作成致しましたので是 非とも周囲の先生方へご回覧頂ければ幸いです。
21 世紀を担う生徒達にとって、『3D 教育プログラム』が、少しでもお役に立てればと 願う次第でございます。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
令和 3 年 12 月吉日
株式会社 KA 教育
代表取締役 菊地 淳
第 1 部「 講 演 会 」
会長挨拶
3D教育研究会 会長 片倉 敦先生(順天中学校・高等学校 副校長)
![](https://ka-education.com/wp-content/uploads/2024/01/img4.jpg)
皆様、こんにちは。入試がやっと終わって一段落ついた時に来ていただいて、 本当にありがとうございます。 今日の講演は大事だと思っています。今まではどちらかと言うとコンテンツ ベースで何をやったかを大事にしていましたが、そうではなく、どこまでやっ たかが大事なのではないでしょうか。これからはコンピテンシーベース、資質 ベースで考えていかないと、世界のイノベーションが発達していく社会におい ては資質能力が問われる時代になってきたのではないでしょうか。そのために あるのが『探究』という学習なのです。今までのような評価ベースの授業では資 質能力がなかなか育ちません。『探究学習』を通して資質能力を育てていかなければいけません。資質能力の分野は幅が広いのですが、今までと違うのは知識ベースではなく、社会性、学び に向かう力、というようなものまでも学力として捉えようという、時代になってきました。学力の幅が広がっ てきました。 今回の講演の先生には企業家的、探究的な学びについてお話しいただけるのではないかと思います。本校で も『探究学習』を行っています。他の学校様も『探究学習』を重視しつつあるように思います。『探究』と一言で 言いますが、アカデミックな内容、SDGs的な内容など幅が広いのです。企業家的なものも出てきて、教師が指 導できない内容になってきます。そういう時に大学の先生の力をお借りしながらやっていく時代になったの かなと思います。
今回は情報経営イノベーション専門職大学 イノベーションマネジメント局 局長 宮島徹雄様にご講演い ただきます。こういう機会に助言をいただけるような関係づくりをしていただきたいなと思っております。高 大連携のつながりを持ち、高校だけでできない時には外の力を借りることができる、コミュニケーション能力 のある人が教師になる時代を作っていく、今日はその第一歩ではないかと思います。先生、よろしくお願いい たします。
講演
『現代社会で求められる人材、資質・能力の育成 〜高等学校の「探究」と高大接続の可能性〜』
情報経営イノベーション専門職大学 イノベーションマネジメント局 局長 宮島 徹雄先生
![](https://ka-education.com/wp-content/uploads/2024/01/img8.jpg)
情報経営イノベーション専門職大学 イノベーショ ンマネジメント局 局長 宮島徹雄と申します。今日は よろしくお願いいたします。 お題は『現代社会で求められる人材、資質・能力の 育成〜高等学校の「探究」と高大接続の可能性〜また、 その成功のために必要なことは?』ということでお話 をさせていただきます。
宮島徹雄先生プロフィール 関西生まれ関西育ち。1967年大阪生まれ。5人家族。関西学院大学 経済学部(体育会ラグビー部) 1991 年卒。息子は同志社大学グローバルコミュニケーション学部 北京大学留学。娘は武庫川女子大学 (中学 より) 山東大学留学。
1991年 | 株式会社リクルート入社 以降11年間教育機関広報部在籍 |
2002年 | 住宅情報事業部異動 |
2006年 | 辻調グループへ転職 3校の副校長兼務 |
2016年 | 東証プライム市場上場のITベンチャーの (株)エアトリへ転職 ITオフショア開発事業部執行役員→現在アドバイザーへ |
2017年 | 電子学園 専門職大学設立準備室長就任 |
2020年2月 | 学園の事業会社であるi株式会社代表取締役就任 |
2020年4月 | iUの事務局長就任 学校法人電子学園 理事就任 |
2021年4月 | アーバンデザインセンターすみだ 副センター長就任 |
2022年11月 | iUZinvestment 代表パートナー就任 |
現在も上場、教育系ベンチャーの企業中心に顧問、アドバイザー等を複数務める。 ベンチャー投資も行っている。 自身のミッションは沢山の良い教育機関を創る。
今、ライフワークとライスワークがシンクロしていますので、メンタルコンディションが高い状況です。大 変なこともありますが、楽しくやっております。30 年の間に一般の会社に勤めながら、専門学校の教育をし て、ITベンチャーの役員をやらせていただいて、その後自ら大学を作り、来年 4 期目、完成年度を迎えます。
今、世界のどこで何が起きているのか?決して見落とせない世界紛争
世界はどうなっていますか?ということですが、非常に厳しい状況です。海外のことを理解しないと難しい 時代です。そんな中、日本はどうでしょう。平成元年と平成 30 年の世界時価総額ランキング。平成元年 30 社 中 21 社が日本の会社でしたが、平成 30 年には 0 社になりました。2021 年はどうか。ベスト 30 に入ってい る会社は 0 社です。本当に日本の国力は落ちています。
これは世界の購買力ランキングです。2014 年日本は 4位、30年も日本は4位。2050 年に7位になってし まいます。2050 年にフォーカスしていきたいと思い ます。インドネシア、ブラジル、メキシコに抜かれます。 2013 年人口は中国が 1 位、日本は 10 位ですが、2050 年になると日本は16位になります。2050年予想で は 1 億人ですが、コロナ前の数字なのでもしかしたら 2050 年 1 億人を切っているのではないかと思います。 日本の国力が下がっていくのが前提です。
![](https://ka-education.com/wp-content/uploads/2024/01/img12.jpg)
Society 5.0
社会はどうなっていきますか?これはSociety 5.0 です。サイバー空間とオリジナル空間を高度に融合させ たシステムにより、経済社会の発展と社会的課題の解決 を両立する、人間中心の社会。ITが全てのことを解決し ていくということです。人口が減っていく中でどうして いくかが問題です。
![](https://ka-education.com/wp-content/uploads/2024/01/img14-1024x706.jpg)
ムーンショット目標
皆さん、ムーンショット目標をご存知ですか?これは 内閣府が立案したもので、ホームページで公開されてい ます。3領域でこういった具体的な目標が出ています。 この目標を達成するために政府の方針や予算がつきま すので、2050 年と考えていただくと先生方の生徒た ちが43 〜45くらいになります。働き盛りにこの目標 が実現されているということなので、この時に彼らにど ういう目標を持たせるかは教育上大事だと思います。
![](https://ka-education.com/wp-content/uploads/2024/01/img16.jpg)
ChatGPT
私も今日のお題をChatGPTに入れてみました。私の考えとそんなに変わらないことをアップしてきます。 共通テストでも 7 割くらいとった、アメリカの医療系の試験も通ったとか。2023 年でこのくらいのテクノロ ジーですから、2050 年だと我々も想像がつかないと思います。インスタグラムが 100 万人に達するのが 75 日。YouTubeが 260 日。Facebookが 310 日。それに対してChatGPTが 100 万人に達するのにかかった日 数はわずか 5 日らしいです。こういう破壊的なテクノロジーは一瞬にして広がるというのをまざまざと見せ つけられました。先生方の生徒たちがこういう社会を生きていくためにどういう能力をつけたらいいのか、非 常に大事なのではないかと思います。ChatGPTは対話ができる、小説や脚本が書けるということです。宿題もChatGPTがそこそこいい作文を書くというようなことが起こると思います。こうなるとコピーライターの 仕事がなくなると思います。メールの返答なども、ChatGPTに書かせて人間がチェックして返すとメールの やり取りの手間も削減できます。これが自動になってくるとどうなるのでしょう。
多様性を持った理解したグリット出来るグローカルなイノベーション人材
2023 年にこういうことが起こっていて、2050 年に 活躍するのに必要な能力とは何なのだろうと考えまし た。多様性を持った、理解した、グリット出来る、グロー カルなイノベーション人材。これに尽きるのではないか と思っております。世の中グローバルになってきている わけですから当然多様性も理解しないといけません。ホ ームセンターでも海外連携をとっています。コンビニエ ンスストアでも海外の留学生の方々がいらっしゃらな かったら全く成り立ちません。いかに海外の方の価値観 を理解できるかということが大事だと思います。グローカル(グローバル+ローカル)なイノベーション人材、 この力を持っていると私は 2050 年でもやっていけると思います。私はベンチャーの役員もやっていました ので、いろいろ見てきました。大学に行って、1 社で勤め上げる時代ではありません。私たちが親から言われ ていた価値観が、コロナもあって急速に変わってきています。そんな時に今までの知識型、言われたことだけ を覚えている、言われたことだけをやれる子というのは給料も安くなり、ブルーワーカーになるしかないと思 います。その生き方が悪いとは思いません。人それぞれですが、できれば社会的に価値のある仕事をして欲し いと願います。従来型の考え方だと難しいと思います。
![](https://ka-education.com/wp-content/uploads/2024/01/img22.jpg)
2050 年に活躍するためには多様性を持った、理解した、グリット出来るグローカルなイノベーション人材 が必要だと思います。グリットというのは、ガッツ持って自発的に最後までやる能力。これに尽きると思いま す。当たり前のことなのですが、なかなか最後までやり切る人物はいないと思います。能力の差はないと思い ます。ビジネスアイデアもそんなに斬新なものは出ないと思います。今、上場している企業さんでも斬新なア イデアを出しているところはないと思います。ベーシックなビジネスアイデアを他のものと掛け合わせてい ます。 後はイノベーション人材です。Google社の前副社長のジョナサン・ローゼンバーグ氏が求める人材を次 の 5 つのスキルを持つ人材と定義しています。
・分析思考能力
・コミュニケーション能力+SNS時代のデジタル
・新しい試みに対する意欲
・チームで仕事ができる能力
・情熱と指導力
SNS時代のデジタルコミュニケーション、インスタやTikTokをうまく使いこなせる能力があるなど、とて も大事だと思います。算数ができる暗記ができるなどの能力は書かれていません。求められる能力が今は全く 違うと思います。ここに書かれている能力を持っている子が 2030 年、2040 年、2050 年、活躍してしっかりお金をもらって社会貢献してくれるのではないかと思っています。
情報経営イノベーション専門職大学(iU)
こういう人材を作らなければならないので、私は大学を作りました。専門職大学は皆さんほとんどご存知な いと思いますので、ご説明させていただきたいと思います。1964 年、前回のオリンピックの時に短期大学が できていて、それ以来 55 年ぶりにできました新しい大 学の種類です。世界で通用する学位が取れます。普通の大学と同じ 4 年です。大きく違うところは、授業は原則40 名以下です。600 時間以上のインターンシップに行きます。ほぼ 4 ヶ月のインターンシップに行かなければ 卒業できないのです。業界・現場のプロの実務家教員が 4割以上在籍している。現場で活躍している人を入れま す。大学を作る上、さらにこの条件を加えているので、難しいのです。2022 年 4 月現在で 18 校開学していますが、申請は 50 校です。普通の大学なら 48 校くらいは申 請がOKです。教員を調達できずに開学を断念するとこ ろが多いのです。いい教育内容なのですが、作りにくくて、知名度がなく皆さんから認知されにくいので、なか なか生徒さんが集まっていない専門職大学が多いのです。全国 18 校中半数以上が定員割れしていると思いま す。なぜ専門職大学ができたのか?産業構造の変化や技術革命等に対応し、より質の高い職業教育の充実が求 められていますが、従来の大学は学術研究を基にした教育を基本とする仕組みとなっていることから、企業等 と連携して実践的な職業教育を行う新しいタイプの大学として、専門職大学制度ができました。従来の大学は 研究しなさいと言っているわけです。外部からお金を持ってくるけれど、専門職大学は職業教育をやれと言わ れているのですが、ご理解いただいて長い目で見ていただきたいです。 iUは「変化を楽しみ、自ら学び、革新を創造する」という教育理念のもと、学校法人電子学園が作った大学で す。日本電子専門学校は東京・西新宿で 3065 名の学生が学ぶ日本を代表する工業系専門学校。理事長は東京 の専門学校のトップと全国の専門学校の筆頭副会長をやっております。 開学3年目ですが、情報経営イノベーション学部情報経営イノベーション学科の単科の大学です。入学定員 が 200 名。専門職大学、単科で一番多い定員です。昨年の 4 月に 217 名入学。現在 639 名在籍しております。珍 しく定員をオーバーしている大学です。非常に面白い生徒がいます。息子の学校見学に行ったら面白いから入 ったという 48 歳の現役の看護師のお母さんがいます。お母さんはICTを医療分野に持ち込みたいそうです。 66 歳の役員をやっているお父さんも面白そうだからと入りました。学力の高い高校からも来られています。 偏差値にはこだわっていません。大学に入ってグリットできる生徒が 200 人集まってくれたらいいと思って います。いい大学に受かったのに行かずに来ている子もいます。8割近い教員が現場で研究していたメンバー や企業しているメンバー。面白い授業を展開しています。非常に実践的です。立地が墨田区です。墨田区は 23 区で唯一大学がなかった区です。墨田区初の大学として開校しました。生徒は日本全国から来ています。一番 多いのは 70%の 1 都 3 県です。留学生は来年は 30%くらい取りたいです。男子 84%女子 16%なので、女子も 増やしたいです。新設の学校なのできれいです。墨田区にキャンパスを開設された千葉大学と、墨田区と、3社包括提携しましていろんな取り組みをしています。アー バンデザインセンターすみだ(UDCすみだ)に3社と東 武鉄道、UR都市機構、東京商工会議所、東京東信用金庫、 墨田区公社などが参画して地域貢献しています。(選考 事例は千葉の柏市。)千葉大学は建築系の学部があるので墨田区の街づくりや都市計画のお手伝いを、我々 DX の大学なので中小企業のDXや小中学校のデジタル化の お手伝いをさせていただいております。小中学校では学 生が先生方に教えたり、小中学生にプログラムを教えた りしています。昨年3月、テレビスタジオを作りました。 吉本興業に貸し出しています。地域貢献の生放送をやっています。大学のキャンパス内にこういった施設を持 っているのはうちの大学だけです。
![](https://ka-education.com/wp-content/uploads/2024/01/img26.jpg)
学びの内容はビジネスが 50%、ICTが 30%、グローバルが 20%です。グローバルは英語です。英語でプレ ゼンテーションができるコミュニケーションスキルを身につけます。ICTはプログラミングやシステム開発 の基本的な知識やスキル、セキュリティ、loT、AIなど幅広く学習します。ビジネスは 50%です。その半分が マーケティング、マネジメント、ファイナンスなどを学ます。その半分は 4 年間通して企業に挑戦します。残り の半分は企業と一緒にPBLを学びます。起業内で新規事業をするビジネスマネージャーや、企業内企業家がメ インになるのではないかと思っています。実際の学生の希望は 10%は大学院。20%は起業。70%は企画職希 望の会社員です。70%の人がまだ何をやりたいか見つかっていない、起業はしたいが会社に入ってから見つ けたいと言います。大体想定通りの子たちが育っているのではないかと思います。
1 つ目の特徴は、今、500 社くらいの企業と連携しています。インターンシップの派遣や教員の派遣やプロ ジェクトをやっています。理化学研究所とAIがみんなの校歌を作る。BSよしもと株式会社と新たな教育研究 拠点を開設。京丹後市デジタル戦略策定プロジェクト、これは学生が調べ物をやり、コンサルタントがまとめ て、学生がプレゼンをします。他には放送局のeスポーツの企画を運営協力したり、DXの人材育成サービスの 協同講座開設をやっています。
2 つ目の特徴は、客員 700 名にいろんな形でサポートしてもらっています。
3 つ目の特徴は、在学中に起業をします。授業でやった内容か、自分のやりたい内容をプレゼンしてもらい ます。学生はお金を持っていませんので、事業会社かファンドから出資を実際に行っています。6 社の出資実 績があります。大学の住所で起業しているのは 16 社で す。オフィスも大学内に構えていて、学校内で起業して います。今一番面白いのは、ナインバースと言う会社。今月は 6000 万資金調達しました。2 年生の学生ですが、 今、休学しています。忙しすぎて授業にでれないという ことです。来年は億単位の調達をするそうです。VRの アバターの着替えをやっています。投資家の方に非常に 気に入られて、上場したいと言われています。後、推しメーター。昨年の 11 月に 1 千数百万調達しました。同級生5人くらいで起業して、おじいちゃんの家の 2 階に全員住み込んで、史上最年少の上場を狙うと言っていま す。この会社に出資をしています。こういった出資している会社からのキックバックがありますので、それを 学生の奨学金にしたいと考えています。そして将来的に学費をゼロにできればいいなと思っています。徳島の 神山高専が 100 億円集めてその運用資金で学費をゼロにしている成功事例があります。親の経済力で大学に 行けない人が我が校でチャレンジしてもらって、私たちに恩返しするのではなく、恩送りしてもらったらいい のではないかと思っています。
![](https://ka-education.com/wp-content/uploads/2024/01/img32.jpg)
4 つ目の特徴が、インターンシップです。3 年生が 6 月から 11 月の4ヶ月間インターンシップに行きます。 ご好評いただいています。40 社近い会社から内定をいただいております。内定してインターンを続けている 学生もいるので、早期離職がないのではないかと思っています。インターンを採用したい会社は 200 社くら いあります。そこから応募していただいて、そのうちの 100 社にマッチングしています。来年から無償になり ますので、4 ヶ月iUの学生を使えると言うのは企業にとってもメリットだと思います。 iU大学の名前を知っていただきたいので、かなり積極 的に高大接続をやっています。学生にとってはとてもい い機会になると思います。スマホを落としただけなのに でセキュリティの勉強をしたり、経営学、ビジネス経営、 ICT、英語、キャリア教育いろいろな授業をしています。 校内の教員の方だけでカリキュラムを作るのは非常に 無理があると思います。
高等学校における探求の問題点は?
大学や企業に丸投げ、既存の教育とリンクしない、企業や大学が提供するカリキュラムを教員が本当に理解 していない、興味がないと言う場合が困ります。教員に探求授業科目開発する時間がないのだと思います。上 位大学と接続がしていないので入試と連動しづらいと言う部分があるのではないかと思います。「教員、もっ と頑張れ!」「探究学習は生徒のためになる!」「地域との協働には意味がある!」と鼓舞するだけでは現場は限 界かもしれません。
![](https://ka-education.com/wp-content/uploads/2024/01/img36.jpg)
大学から見た高大接続授業は?
いい授業はもちろん実施したいと思っています。教員の負担は減らしたい、派遣出来るいい教員が少ない。 入学者を確保したいです。複数校で共同実施出来れば教員の負担が減らせるのではないか、と思っています。 オンラオンなら負担も減りますのでうまく使っていただけるのではないかと思います。できれば入試と連動 した授業も実施したいと思います。お金はないのは分かりますが、交通費はご検討いただきたいです。とはい え高校の方が探究学習が進んでいる場合もあります。
高大接続授業を成功させるためには
高大接続授業を成功させるためには、探究学習の意味を理解して生徒に授業に臨んでいただきたいと思い ます。大学・企業・役所等、外部の力を高校主体でうまく使っていただいて、見方にしていただきたいと思います。実践の場を与えて最後まで生徒に自主的にやり切らせる、そして失敗することが接続授業をする上で大 事なんじゃないかと思います。
今後、学校に求められているもの
学校改革はマネジメント改革ではないかと思います。情報共有のスピードアップ、フラット化。意思決定の スピードアップ。現場への権限移譲。風通しのいい職場。新しい事にトライする校風。旧来の当たり前の見直 し。社会の動きと連動する、先を見据えた教育改革をしないと学校自体が成功していかないのではないかと思 います。私もこういったことを日々意識して大学をやっています。生徒が減っていきますので、いろんなこと が求めれられてきます。
今後、教員(ミドルマネージャー)に求められるスキルとは?
一般教員のマネージメント能力。今後教え方も非常に難しくなってくると思います。学びのテクノロジーが 侵食してますので、職人技の教育ノウハウが難しくなってきます。教員に求められるのが、スタディサプリな どのツールをうまく使いこなして、先生方の負荷を減らして、学生のメンタリング、モチベーションアップな どの能力が求められるのではないかと思います。そして外部とのつながり、世の中の動きの理解。現場の教員 をマネージメントされている方に求められている能力なんじゃないかと思います。これができると学校が活 性化して、良い教育ができると思います。 いちばん大切なのは生徒募集です。先生方に頑張っていただきたいと思います。我々も必死で学生募集をや っております。高校がかなり厳しくなってきています。通信制高校、フリースクールが増えています。ミドルマ ネージャー、一般教員のスキルアップを目指していかないと闘っていけないと思います。
大学の悩み事
最近の大学の悩み事をお話ししますと、やっぱり一番は学生募集。外部資金の獲得。学校法人ガバナンス改 革。教学マネジメント。23 区問題。補助金問題、定員割れ 8 割を 3 年続くと補助金が出ません。高校と同じよ うな悩みを抱えています。
以上、ご清聴ありがとうございました。
関西弁を交えながら楽しくお話ししてくださいました。大変なこともたくさんおありだと思いますが、楽し んで目標に向かって力強く頑張ってらっしゃる姿が印象でした。
質疑応答
進行 3D教育研究会 副会長 樋口 元先生(京華商業高等学校 校長)
Q 朋優学院高等学校 田中 寛人先生
グリット、と言うワードは気になっていて育てたいと思っていますが、難しいと感じることがあります。 素材としてそういう子の場合はいいのですが、行けそうでまだやりきれない子をどう育てていけばいい のか?それと探究の意味を理解させるというところで、すぐに入ってくる子と、入試と関係ないと言う ところから全然入っていかない子に大きく分かれてしまいます。伝わらない子にどうやっていけばいい のでしょうか?
![](https://ka-education.com/wp-content/uploads/2024/01/img44.jpg)
A 宮島 徹雄先生
グリットは時間がかかります。寄り添って諦めずに。いつ爆発するか分からないので、信じて伴走してあ げることが一番大事なのではないかと思います。探究の意味を理解するという部分で言いますと、なか なかすぐ理解出来ないと思いますので、言い続けるしかないと思います。生徒の耳に入る、受け入れるこ とができる時期があると思います。22 の子でも 1 年くらいかかりました。17,18 の子ですぐ入ってく る子は少ないと思います。
Q ドルトン東京学園中等部・高等部 髙野 淳一先生
将来的に起業する人にとっても、起業しない人にとっても、起業する力、そのための学びはどう役立ち ますか?
![](https://ka-education.com/wp-content/uploads/2024/01/img42.jpg)
A 宮島 徹雄先生
おっしゃる通り、起業はあくまで手段だと思います。大事なのは自分で考えて事業を組み手立て、失敗す ること。チャレンジすることで教えられていないことをトライすることが一番大事なんじゃないかと 思います。それを身に付けてくれればどこの企業に行っても役に立つと思っています。その思い入れが あって私はこのカリキュラムにしました。
京華商業高等学校 樋口 元先生
私自身も学校の教員であっても、アントプレナーシップが必要だと思います。学園の運営にしても、クラ スの運営にしても、学校行事の運営にしても、一人ひとりの先生方が企業家精神のようなものは持って いて、組織の中で動くのですが、自分の学年はこう育てたい、こうありたいという気持ちがあって、そこ で新しい教育、目の前にいる生徒たちへの教育ができていくのかなと思います。以前、企業家の先生の フォーラムの方にお越し頂いて、授業をやっていただいたことがありました。これは学校の教員だけで はなく、いろんな企業に就職されていろんな部署にいても同じだろうと思います。
Q 朋優学院高等学校 小野間 大先生
本校は偏差値の高い大学への進学が年々伸びていることが評価されて、募集も増えています。大手企業 に勤めて安泰という社会は終わっているにも関わらず、未だ生徒・保護者の多くが求めているというこ とが事実としてあります。私たちもそうではないということを発信はしているのですが、本校の募集に おいてもそこが難しいところです。ママブロックをどうやって解決するかということをお聞きしたいで す。
A 宮島 徹雄先生
その時はお母さん、そんな時代ではないですよ。お気持ちも分かりますが、それで息子さんは本当に幸せ ですか?と言います。最後は選んでくださいと言いますが、現状を話すと理解してくれる親御さんは非 常に多いです。教職員総動員で個人面談をするのがいいのではないかと思います。
Q 株式会社リクルート 辻本 裕介様
私どもがやらせていただいているのは中学校・高等学校の先生方に対してのICT化の支援です。先生方 の意思決定のスピード感が法人と全然違ったり、組織系統が全然違います。我々民間企業として接する 上で、どういったことが企業に求められているのか?学校の理想の実現に貢献したいという思いはある のですが、民間企業として接する意味は?お伺いしたいです。
A 宮島 徹雄先生
ご自身で自信のあるプロダクトを全部の学校に入れることが使命なのではないでしょうか。プロダクト を信じて徹底的に売り込めばいいと思います。成功事例を横展開して先生方の負荷を下げる提案をやり 切るといいと思います。
Q 朋優学院高等学校 佐山 周先生
デジタルツールの発達により、生徒たちの思考力やイメージする能力が落ちている気がします。それを 克服し、伸ばしていくにはどうすればいいでしょうか?アドバイスをいただきたいです。
![](https://ka-education.com/wp-content/uploads/2024/01/img56.jpg)
A 宮島 徹雄先生
生徒たちの能力は昔に比べて落ちていると思います。頑張って勉強することとか、一つのことをやり切 ることが、極めて少ないのではないでしょうか。あまりにも世の中便利になりすぎています。夏休みの宿 題をgoogleがやってくれるそうです。仕方がないです。私たちの頃は正確に記憶して、それを再現すると いう努力を入試で求められましたが、今は違ってきています。その能力を伸ばすしかないのではないで しょうか。克服するには、チャンスを与えて実践の場に生徒を出してあげることだと思います。今の学生 はインターネットで調べることや、まとめること、プレゼンもすごくうまいです。今の子は人からお金を もらって何かするということを、やっていません。それをやっている子とやっていない子は相当違うと 思います。先生方が工夫していかに生徒にリアルの場を体験させるかが先生方に求められていることで はないでしょうか。実践の場に引き出してください。失敗させてください。
アンケート集計結果報告
進行 3D教育研究会 副会長 髙野 淳一先生 (ドルトン東京学園中等部・高等部 入試広報部主任)
髙野 淳一先生から、教員の方のアンケートの集計結果報告がありました。
![](https://ka-education.com/wp-content/uploads/2024/01/っっっd-1024x492.jpg)